2011年11月02日

タイトロープ!

IMG_2769.JPG「自分の頭で考えることが重要だ」なんていう笑えない冗談が真理であるかのように世間に流通し、まるでひとたび自分の頭で考え始めさえすれば誰もが、専門家のそれと比較するに値する有益で正当な見解を持つことができたり、何者かの手により隠蔽された不都合な真実を暴くことができるようになるといった、自由平等主義に毒されたグロテスクな錯覚を人々に与えている。

野球の素人がプロの打席で為す術もなく凡退するしかないのと同様に、思考のための準備や鍛錬をそれまで怠ってきた者が、いきなり自分の頭で考えはじめてみたところで、そこには無様な結末が待ち受けているだけだ。どういうわけか「個人の思考能力」なるものは、一切の知識も努力も必要なく人間に生来的に備わっているというファンタスティックな誤解がある。

むしろ「自分の頭で考えることは危険」がデフォルトなのだ。

人の認識や思考のプロセスは常に認知科学的錯誤の危険に晒されていて、人はいとも簡単に直感や無意識の期待に沿うように飛躍を重ね、都合の良い杜撰な取捨選択を無自覚に繰り返し、自分に心地良い結論こそが「正しい」と無邪気に思い込みたがる。


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posted by いっこう at 13:51| Comment(8) | TrackBack(0) | 思想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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